カルマノオト
せっかく勧められたのだから一曲くらい最後まで聴いてみよう。


そう思って、イヤホンから流れるその曲に耳を澄ましていたけれど……。




「歌、入ってないじゃん。」




奏美に聴かされたその曲は五分ほど。


一曲の演奏時間がそこそこ長いものであるにも関わらず、この曲には一切歌詞が付けられていなかったのだ。




「ああ、その曲はインストなの。

次の曲は歌入りだから、そっちも続けて聴いてみてよ。」




柄の長いスプーンでシトラスパフェを掻き回しながら、予想通りの反応を見せた私へ得意気に笑みを浮かべる奏美。
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