カルマノオト
もう不要だとわかりつつも物を捨てられない悪い癖。


往生際の悪い無駄な愛着心が、このクローゼットの中身をどんどん増やしている。




かつて憧れた女優が表紙を飾っているというだけで取ってあった二年前のファッション雑誌。


今では決してファンとは呼べない程に彼女への興味が薄れているのに。


もちろん、掲載されているファッションのコーディネートや特集されているメイクのテクニックだってもう参考にならない。




古雑誌と古雑誌の間にはくしゃくしゃと角の折れてしまった過去のレポートが紛れ、時々その中から辞書や小説の文庫本までもが顔を出す。




「あ……!!」
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