カルマノオト
忘れ去られた存在。


そう実感する事が恐くて、これまでずっと再会を避けてきたはず。




―――わかっていたはずなのに……。




年月が経ち、今の私は大人の女になっている。


中学生だったあの頃とはまず見た目が違う。


再会したって、彼が私に気付かないのは当たり前だ。




だけど、どこかで気付いて欲しかった。




私が彼の声を聴き、そのトーンが私の記憶を刺激した時のように。


わずかに残る面影や声の音で、なんとなくでいいから引っ掛かりを持って欲しかったんだ。
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