カルマノオト
ずっと捨てられず、だからといって実家に置いたままにするのも気まずくて。


大学へ進学し一人暮らしを始めた際に持ってきたまましまい込んでいた。




存在を忘れていた訳じゃない。


頭の片隅に存在を置きつつ、あえて見ないようにしていたはずなんだけど。




―――ここにあったんだ……。




いつしか山積みとなった雑誌やレポートに埋もれて見えなくなっていた。


忙しさに託けてだらしなくしていたお陰で、クローゼットの奥に眠らされていたこれがこのタイミングで再び日の目を見る事となってしまったのだ。
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