眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「夕葵最近、元気ないよね?」

別居生活十日目。

お昼休みにお弁当食べながら、香織ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「……そんなこと、ないよ」

そういつつも、私のお弁当はちっとも中身が減ってない。
近藤のおばさんが毎日作ってくれるお弁当。
残すのは心苦しいんだけど、最近全部、食べられない。

「……やっぱりあの件、ショック?」

「ううん。
私は死んだ子が、……憎いよ」

「夕葵……?」

「だって、あの子のせいで、月原先生忙しくて。
きっとあの顔、満足に眠れてないよ?
自分だって凄く疲れてるのに、私たち不安にさせないように無理に笑って。
あんなの、見てて……つらいよ」

「……夕葵の気持ち、月原に伝わるといいな」

ふたりから抱きしめられて。
ささくれ立ってた心が、少しだけ落ち着いた。

……淋しい。
会いたい。
疲れてるなつにぃの、傍にいてあげたい。
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