眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「いいから。
開けて、みて?」

なつにぃが、こてんと首を倒す。

仕方なく開けてみると、私の誕生月の、緑の石がついた指環が入ってた。

……いくら恋愛ごとに鈍感な私でも。
これが所謂婚約指環だってことはわかる。

「あのね?
すぐに結婚しよう、ってことじゃないよ?
僕だって、ゆずちゃんが高校生で、しかも僕が、担任の先生だってわかって
る。
だから、ゆずちゃんが卒業するまでだって、その先だって、気持ちが決まるま
では、待つつもりだし。
ただこれは、ゆずちゃんはひとりじゃないよ、って印。
これ持ってる限り、僕はゆずちゃんと一緒にいるよ、っていう、証し」

そんなこと、なつにぃが考えてるなんて思ってなかった。
また、「結婚しよう?」っていわれるんだって思ってたから。

「……尚更受け取れないよ」

「うん?
ゆずちゃんが重荷に感じたり、僕以外に一緒にいてくれる人が見つかったんだ
ったら、遠慮なく返してくれていいよ?
そんなことが起こらないよう、祈ってるけど。
でも、いまはゆずちゃんに必要だと思うから」

「なつにぃ……」
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