眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……いいよ」

私が泣き出すと、やっぱり夏生は私のあたまを撫でてた。

「ゆずちゃん。
ゆずちゃんは僕の妹なんかじゃないよ。
大事な奥さん。
きっと人に聞かれたら、また妹っていうけど、でも、心の中ではちゃんと奥さ
ん、って思ってるから。
ゆずちゃんは僕の大事な家族で、奥さんだから」

「……うん。
私だって、もう夏生のこと、お兄ちゃんだなんて思えない。
だって、大事な旦那様だもん」

「うん。
わかってるよ。
大丈夫だから」

「……うん」

不安だった気持ちが涙と一緒に流れ出る。
泣き止むまでずっと、夏生はあたまを撫でていてくれた。


学校が始まると、まわりからちょっと注目された。
お正月の件は、みんなに広まっているらしい。

クラスのみんなは、千ヶ崎たちを除いて、意外とあっけらかんとしてた。

普段が普段だから、それくらい別にいいんじゃない?って感じ。
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