眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……ねえ、亜紀。
私、普段の月原ってあんまり知らなかったんだけど、いつもこうなの?」

「ああ。
いつもと何ら変わりないぞ」

「そうなんだ。
……夕葵、あんたほんとに苦労してるのね」

香織ちゃんはそういうと、よしよしと私のあたまを撫でた。
というか、あきらかに同情されてる。

……まあ、今日の夏生があれじゃ、そうなるだろう。


家に帰って、ちょいちょいと手招きして夏生を呼ぶ。
夏生は怯えて、目を合わせようとしない。
にっこり笑顔で、座ってるソファーの隣をとんとんすると、諦めたように背中
を丸めて座った。

「……ねえ、夏生?」

「……なあに?ゆずちゃん」

「このあいだ、もっともっと気をつけよう、っていったよね?」

「……うん」

「なのに、今日のあれ、は、なにかな?」

「僕は友達の歳と出かけて、たまたま歳の妹と、その友達が一緒だっただけだ
よ?」
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