眼鏡とハンバーグと指環と制服と
当日。
夏生は朝早く、まあ普通に出て行った。
昨日の夜は……大騒ぎ、だったけど。

「……ゆずちゃん、僕、髪の毛おかしくない?」

「どうしたの?
別におかしくないけど」

「前髪、短くない?
短過ぎない?」

「あー」

……確かに。
散髪から帰ってきた夏生の前髪は、いつもよりもかなり短い。

「神事の前だから、少し短めにってお願いしたら、今日はいつもと違って息子
さんの方だったから、思いっきり切られた……」

夏生の目には、涙がいっぱい溜まってる。
よっぽど、ショックだったみたいだ。

……夏生はいつも、館長先生から前髪が長過ぎるって、怒られてる。
だから、神事の前だけ、ちょっと短くするんだけど……。
今日はいつものおじちゃんじゃなかったみたい。

「でも、絶対こっちの方がいいよ」

「……ゆずちゃん?」
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