眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「だから、なつにぃが嫌ってわけじゃなくて……」
「なら僕と、結婚、しよ?」
ふふっ。
なーんにも心配いらないよ。
そんな顔でなつにぃは笑ってるけど……私には心配事しか、ない。
——そもそもの発端は。
十日前に遡る。
「ゆずちゃん、気、落とさないでね」
「……うん。
ありがとう、なつにぃ」
おばあちゃんが死んだ。
八十二歳だったから、そこそこ長生きはできたんだと思う。
私が小学校に上がるより先に両親が死んでから、ずっとおばあちゃんとふたり
暮らしだった。
中学に上がる頃から、なんとなくこんな日を覚悟しとかなきゃいけないんだ、
って思ってた。
思ってたけど、別れはあっけなくて、現実感がまるでない。
風邪をひいて、年が年だけに回復に時間がかかってると思ってた。
その日、朝、様子を見に行くと、もう息をしてなくて。
「なら僕と、結婚、しよ?」
ふふっ。
なーんにも心配いらないよ。
そんな顔でなつにぃは笑ってるけど……私には心配事しか、ない。
——そもそもの発端は。
十日前に遡る。
「ゆずちゃん、気、落とさないでね」
「……うん。
ありがとう、なつにぃ」
おばあちゃんが死んだ。
八十二歳だったから、そこそこ長生きはできたんだと思う。
私が小学校に上がるより先に両親が死んでから、ずっとおばあちゃんとふたり
暮らしだった。
中学に上がる頃から、なんとなくこんな日を覚悟しとかなきゃいけないんだ、
って思ってた。
思ってたけど、別れはあっけなくて、現実感がまるでない。
風邪をひいて、年が年だけに回復に時間がかかってると思ってた。
その日、朝、様子を見に行くと、もう息をしてなくて。