眼鏡とハンバーグと指環と制服と
学校の最寄り駅で降りると、視線が痛かった。

通学時間だから、まわりは生徒ばっかりだ。

あれから十日ほどたってるのに、まだ話題になってるらしい。

学校に着くと、さらにひそひそ話が激しい。

……結婚してるんだって。
しかも、月原先生と。

……付き合ってるくらいだったら理解するけど。
結婚とかありえない。

……結婚してるってことは、月原とやりまくってるんだよな。
おとなしそうな顔してやるよな。

……よく平気な顔して学校来れるよね。
月原先生はクビらしいよ。

「胸張ってろ」

「……うん」

席に着くと、まるで針の筵に座ってるみたいだった。

あんなに私たちのことくっつけたがってた癖に、いざ結婚してたことがわかる
と手のひらを返したみたいにみんな、やっぱり態度が変わった。

そのうちチャイムが鳴って教室にきた城崎先生は、あんなに睨んでたのが嘘み
たいに、私を無視した。
< 458 / 613 >

この作品をシェア

pagetop