眼鏡とハンバーグと指環と制服と
……被害届。

城崎先生のために夏生、出さなかったんじゃない。
被害届を出してくれた方がよかった、そう思うくらいのことをしようとしてた
みたい。

でも、勇にぃに私のことを考えろ、って説得されて諦めたようだ。

……というか、なにをしようとしてたのか、考えるだけでも怖い。

「でも、怪我をさせた月原先生も悪いし、それに」

「……結婚してた件か」

「……はい」

「参ったよな、付き合ってるくらいかと思ってたら、実は結婚してました、な
んて」

吉永先生は呆れ気味に笑ってる。
でも決して、咎めるような顔ではなかった。

「……すみません」

「それで?
月原先生は自分が一方的に決めたことだから、七尾のことは見逃してくれとい
ってきたが」

「違います。
私が、決めました。
月原先生はただ、同意してくれただけです」
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