眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「学校側は、月原先生の言い分を飲む代わりに、解雇か辞職してもらうかで揉
めている」

「……私が学校を辞めたら、月原先生は戻ってこれますか?」

「どうだろうな」

「どうしたら、月原先生は学校に戻って来れますか?
私にできることだったら、なんだってします」

「……なあ、七尾。
君たちは自分を犠牲にしてでも、相手の倖せを願ってる。
けど、ほんとにそれでいいのか?
君が犠牲になって復職できたところで、月原先生は喜ぶのか?
月原先生が犠牲になったおかげで、学校に通えてる君はどうなんだ?
自分ひとりで考えるより、もっとふたりで考えることの方が、大事だと私は思
うがな」

「でも……」

「もっとよく考えなさい。
月原先生は優秀だから、学校もそうそう簡単には手放したくないはずだ。
時間はある」

「……はい」

吉永先生に諭されながらも、私はただひたすら、夏生が学校に戻ってこれる方
法ばかり考えてた。

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