眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「もう教師と生徒じゃないし。
今度、ベッド見に行こうか?
流石にシングルじゃ狭いもんね」

そういって笑ってる夏生に悲しくなる。

まるでひとつずつ潰していって、教師に戻れないように自分を追い込んでるよ
うにしか見えない。

外でだって手を繋ぐようになった。
指環もずっと、左手薬指にしてる。

もう結婚してること、誰にバレたって関係ないから、って。


その日は帰り、夏生の迎えを断って亜紀ちゃんちに寄って帰った。
おばさんがいいお肉が手に入ったから取りにいらっしゃい、って。

夏生に出入り禁止だとかいいながら、落ち込んでる私たちのために、おじさん
もおばさんもなにかと差し入れてくれる。
そういう気遣いが嬉しくて、心苦しかった。

もらったお肉と、溜まってた郵便物を手に家に帰る。

もう郵便も家に届くように手続きしないとな、とか考えながら鞄になおそうと
して……一枚のはがきが、目に飛び込んできた。

『月原さんが復職する方法、お教えします。
こちらにお電話ください。
090—××××—○○○○
柏木』
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