眼鏡とハンバーグと指環と制服と
……私はそのはがきを、鞄の別のところにしまった。


家に帰って、夏生にもらってきた郵便物を渡す。
もちろん、あのはがきは外して。
悪いことをしているみたいでドキドキしたけれど、平静を勤めた。

「おばさん、なんだって?」

「昨日、おじさんが出張で伊万里牛買ってきたから、うちにもお裾分けだっ
て。
今日は焼き肉だよー」

「やったー」

夏生は喜んでる。

……よかった。
気付かれてないみたい。


夜は宣言通り、焼き肉にした。

「伊万里牛ってやっぱり、いつも食べるお肉と全然違うねー」

「えっ?あ、そうだね」

……嘘。
あのはがきのことであたまがいっぱいで、味なんてちっともわからない。
せっかくの高級肉がもったいない。
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