眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「ゆずちゃん?
どうかした?
学校でなにかあった?
城崎先生にいじめられた?
それともまた、なにか嫌がらせされた?」

夏生の顔がみるみる曇っていく。

こんなふうに夏生が心配するのは当然だ。

学校では未だに風当たりが強い。

亜紀ちゃんと香織ちゃんが庇ってくれてるし、吉永先生もそれとなく睨みをき
かせてくれてるから、みんなそうそう簡単には手を出してこないけど。

それでも時々、私の上だけ局地的に雨が降ったり、机の上が華やかになってた
り、下駄箱がゴミ箱に早変わりしてたりしてる。

「ごめんね。
早く辞表出して教師じゃなくなったら、保護者として抗議に行けるんだけど。
ほんとごめん」

「夏生があやまることじゃないから」

お肉の焼ける、じゅうじゅうという音だけが部屋の中に響く。
プレートの上で、せっかくの高級肉が炭に変わってく。

「……食べよ?
ほら、せっかくのお肉、焦げちゃった」
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