眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「七尾さんは進路、私立の家政学部、でいいんだよね」

金曜日。

進路指導、最後の順番が回ってきて、指導室に月原先生とふたり。

「はい。
家から通えるし、もう早くから働く必要がなくなったので。
……って、これって必要!?」

「えー?必要だよー。
公私混同はしないって、七尾さんが決めたんだよ」

「そう、だけど。
同じこと、二回も話すの面倒くさいし、月原先生とふたりなんだから、もうい
いんじゃないかなーって思うんですけど……」

「ダメだよー。
ちゃんと形式通り、しとかないと」

無理矢理教師の顔作ってる、ってのがわかるくらい、月原先生の顔はゆるみか
けてる。

……なんだろね?

「七尾さんの成績だと、ここの家政学部は大丈夫だけど。
でも、ちょっとでも下がったら危なくなるから、勉強は怠らないこと。
できれば少し、上げるくらいの気持ちで。
余裕があった方がいいでしょ?」

「はい、わかりました」
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