眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「もうお気付かと思いますが、夕葵さんのお父様、武史さんは会長のひとり息
子に当たります」

「……そう、なんですか」

「話を月原さんの復職方法に戻します。
あなたの通ってる高校は私立、ですね」

「……はい」

「だったら話は簡単です。
それなりの額を寄付すれば、こちらの希望は大抵とおります」

「……それって、どれくらい……」

「そうですね、最低でも百万単位、要望によっては一千万以上」

「そんな……」

……そんな大金。
私には準備できない。
やっぱりそういう仕事をするしか。

「ああ、早まらないでください。
その寄付、こちらでご準備してもいいんです。
あなたが、ある条件さえのんでいただければ」

「……どんな条件、ですか」

「あなたの従兄弟と、結婚していただきたい。
会長はその方に跡を譲る代わりに、あなたと結婚するようにおっしゃっていま
す」
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