眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「でも、私は……」

「月原さんとのことですか?
失礼ですが、調べさせていただきました。
高校生の分際で教師の月原さんと結婚していることは承知の上です」

「なら、なんで……」

「別に離婚していただければ、問題ないですから。
ああ、芝浦の奥様になるわけですから家に入って、それなりの教育を受けてい
ただきますが」

にっこりと笑う柏木さんの顔が、冷たく見えるのはなんでだろ?

からからになってる喉に、すっかりぬるくなったコーヒーを流し込む。

……夏生と別れて芝浦の家に行けば。
夏生は教師を続けられる。
でもきっと、私がいなくなれば夏生は悲しむ。
どうしたら。

「どうされますか?
返事はなるべく早くいただきたい。
いつまでもここにいるわけにはいきませんので」

「……一晩、考えさせてください」

「いいでしょう。
条件をのむ決心がついたのならば、明日お返事をいただいてそのままここを離
れることになります。
それなりに整理なされてきてください」
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