眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……はい」

ふと、柏木さんの目が、手つかずになってたケーキに向いた。

「……ケーキはお嫌いでしたか?」

「ショートケーキ、食べられないんです」

曖昧に笑ってそういうと、柏木さんは不思議そうな顔をした。


駅を出ると、いつも通り夏生が待ってた。
手を繋いで、一緒にスーパーに寄る。

「……今日はハンバーグにしよっか。
チーズが入った奴」

「どうしたの?
今日、合い挽き特売じゃないよ?
牛乳だって切れてるって」

「……そういう気分だから」

「……ゆずちゃん、どうしたの?
さっきから変だよ?
なにか、あった?」

「ううん。
合い挽きとチーズ、牛乳買って帰ろうね」

「……うん」
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