眼鏡とハンバーグと指環と制服と
柏木さんは晃匡さんを睨んでるように見えるのは……気のせい、かな。

「わかりました。
……夕葵さん、しばらく出てきますが、なにかありましたら携帯の方に」

「はい」

なんだか凄く怒ってるみたいな空気を纏った、柏木さんが出て行った。

ちなみに私は携帯持たされてなくて、マンションにはFAX兼用の電話が置い
てある。

「でさあー、……」

お茶を飲みながら。
晃匡さんはひとりで喋ってた。

自分には彼女がいるから、私と結婚するのは不本意だ、とか。

でも、ママのいうことには逆らえないから仕方ない、とか。

会社経営には興味がないし、やりたいとも思わない、とか。

だけどママから、跡さえ継げばまわりがやってくれるから、なにもしなくてい
いっていわれた、とか。

遊んでてお金がもらえるんだったら、こんないいことないよな、とか。

……そういう話。
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