眼鏡とハンバーグと指環と制服と
とにかくなにかにつけてママ、だし。

一回しか会ったかとない、しかもあんまり印象のよくないおじいさまに同情す
る。
私だってこんな奴に、自分が心血注いだ会社を譲るなんて嫌だもん。
もしかしたら、無理難題として私との結婚を持ち出したのかも。

「それでさ。
聞いたんだけど、おまえ、バツイチってほんと?」

「……え?」

「ママがいってたんだけど。
おまえ、高校生のくせに、しかも教師と結婚してたって」

「……だったら?」

「事実なら、そいつとヤりまくってたってことだろ?
……俺にもヤらせろよ」

「……は?」

じゅるり、そう音がしそうな目で見られた。
立ち上がって迫ってきた晃匡さんは、私の腕を掴むと、ベッドへと押し倒し
た。

「女妊娠させると、みんなうるさいし。
でも、おまえだったらかまわないって、ママが」

両手をベッドに押さえつけられて、上から見下ろされた。

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