眼鏡とハンバーグと指環と制服と
一度、振り返ったなつにぃの口が、
「ホームで待ってて」
そう動いたのが見えた。


……はぁーっ。

なつにぃたちが消えてため息。

やっぱり別々の車両に乗るべきだった。
ちょっと、初めてのデートに浮かれてた。
なつにぃ、いまごろ嫌な思い、してないといいな。

……千ヶ崎は嫌な奴だ。
すっごく、すっごく、すっごく。

自分は顔がよくてもてるって、自意識過剰だし。

……いや、実際、顔は人並み以下だし、背だって高くないんだけど。

それにちょっと自分があたまがいいからって、それを鼻にかけてる。
なんでも自分が正しいと思ってるし、間違いを指摘されるとすぐにキレる。

はっきりいって、クラスではあいつの取り巻き以外、千ヶ崎のことみんな嫌っ
てる。

その千ヶ崎が、私となつにぃのこと、嫌ってないわけがない。


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