眼鏡とハンバーグと指環と制服と
喜んだのはいいものの。
しばらく自習だっていわれた。

おじいさまの仕事が忙しく、柏木さんも四六時中、私に付いてる余裕がないら
しい。

それで、思いついたことがあって、無理だろうと思いつつ提案してみたら……
案外すんなり受け入れられた。


……翌日。
私はスーツで柏木さんの運転する車に乗ってた。

今日からしばらく、柏木さんと一緒に会社に通う。

昨日、私が提案したのは、一緒に会社に連れて行って欲しい、ってこと。

だって、芝浦グループがなんの会社か知っていても、おじいさまが実際、どん
な仕事をしているのか知らない。

だから、知りたいって思った。

どんな仕事をしているのか、どんな人なのか。

一回しか会ったことなくて、しかも印象は最悪だけど、柏木さんの話を聞いて
いるとわからなくなってくる。

今度引っ越した眺めが最高のマンションは、おじいさまの提案で、しかもおじ
いさまが選んでくれた、って。
素敵な家具や調度品も全部。

身ひとつで芝浦の家に来た私に、お洋服を買ってくれたのもおじいさまだ。
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