眼鏡とハンバーグと指環と制服と
徹夜が多い研究員のために、大浴場とカプセルホテル並みの施設を作ってた
り。
社員食堂はもちろん、コーヒーや小腹がすいたときの軽食も無料なんだとか。

社員の皆さんは会長の悪口いわないし、なんだか尊敬してるみたいだった。


その日、いつものように午後のコーヒーをお出しして会長室を出ようとする
と、背後で新聞の落ちる音がした。
振り返ると……会長が胸を押さえて苦しんでる。

「……!
会長、大丈夫ですか!?
柏木さん!柏木さん、おじいさまが!」

私が大声を上げると、すぐにドアが開いて柏木さんがきてくれた。
救急車を呼ぶようにいわれ、私が手配しているあいだにてきぱきといろいろや
ってた。
あとで岬を寄越すので、一緒に帰ってくださいというと、おじいさまに付き添
っていってしまった。


帰って、今日はひとりで晩ごはんを食べた。
いつも岬さんは別で、柏木さんとふたりの食卓。
それがひとりだとなんだか淋しい。
こんなに柏木さんとふたりの食事が当たり前になってたんだって、驚いた。

夜遅く、柏木さんが帰ってきた。

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