眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「後悔してないっていえば嘘になります。
でも、やっぱり決めたのは私だから」

「……そうか」

……おじいさまは後悔してるのかな。
でも、おじいさまは悪くない。
全部決めたのは私、だ。


帰るとき、また来るようにいわれた。
あのあとずっと無言だったけど、不機嫌だったわけではないみたい。

……もしかして、柏木さんと一緒、なのかな。
感情を表に出すのが下手、みたいな。


翌週は認定試験だった。
それなりに勉強してたし、気楽に受けてきていいっていわれてたから、リラッ
クスして受けられた。
そのせいか、解答欄は全部うめられたし、まずまずの手応え。
受かってるといいな。

試験の次の日、またおじいさまのところに行ってみた。
寺阪屋のお饅頭を持って。

ドアを開けるとこちらを見たおじいさまの顔が一瞬、嬉しそうな表情になった
……気がした。

「また来たのか」

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