眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「夕葵さん!」

柏木さんの顔なんか見たくなくて、反対側に寝返り打ったら……怒られた。

「いつまで拗ねてるつもりですか!
このままだと死にますよ!」

「……死んだ方がいい」

「……!来なさい!」

点滴の針を抜いて手早く処置すると、私の腕を引っ張る。
引き摺られるように部屋を出て、玄関まで連れて行かれた。
なにもやる気のない私にかまわずに靴を履かせると、また私を引き摺っていっ
て車に乗せる。

……いつもは後部座席なのに、今日は何故か助手席。

「シートベルト、締めてください」

「…………」

「…………」

黙ってただ座っていたら、柏木さんは怒ったみたいに私のシートベルトを締め
ると車を出した。

私は俯いてふて腐れてた。
柏木さんもずっと黙ってる。

……だけど。
いつも安全運転の柏木さんなのに、今日の運転はかなり荒かった。
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