眼鏡とハンバーグと指環と制服と
長く気まずい時間を経て連れてこられたところは……空港。

柏木さんは私の意思なんか関係なく、手を掴むとどんどん進んでいく。

福岡行きの飛行機に乗せられたことに気が付いたのは、もう離陸体制に入った
ときだった。

「……やだ。
行かない。
帰る」

「…………」

「柏木さん!」

「……お静かに。
もう離陸しました。
無理です」

「なんで……!」

「…………」

柏木さんは黙ってる。
私はただ、震えてることしかできなかった。


飛行機を降りると、柏木さんは車を借りていた。
助手席に私を座らせると、黙ってシートベルトを締めた。

窓の外ははどんどん、見慣れた風景へと変わっていく。

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