眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……柏木さん」

「…………」

「……柏木さん」

「…………」

「柏木さん!」

「……あなたを、月原さんのところにお返しします」

つらそうな顔の柏木さんから出た言葉は、私の想像したとおりだった。

「……なんで」

「もっと早く、そうするべきだったんです。
いや、夕葵さんを芝浦の家に連れてきたこと自体、間違いだった」

「なんでそんなこというんですか!?
私はもう、夏生の元になんか帰れない」

……だって私は。
夏生のことを裏切った。

「大丈夫です。
私のことなど、すぐに一時の気の迷いだったと、片付けられるようになりま
す」

「そんなことない!」

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