眼鏡とハンバーグと指環と制服と
なんとなく違和感を覚えつつ、洗顔をすませて食卓につく。

「じゃあ食べようかー。
いただきます」

「……いただき、ます」

私の目の前には。
ちょっと焦げたベーコンエッグとお味噌汁。
それにごはん。

「……どう?」

「……お味噌汁、ちょっと濃い」

「やっぱりかー。
なかなかゆずちゃんと同じにならないんだよねー」

夏生は何故か、ゆるゆるふふって笑ってる。

「どうかした?」

「……だって」

「ああ。
ゆずちゃんがいなくなってから、近藤のおばさんにも習いながら自炊してるん
だー。
だって、ゆずちゃんいなかったらもう一生、僕にごはん作ってくれる人いない
もん」

「……でも、他の人と再婚したら」


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