眼鏡とハンバーグと指環と制服と
エピローグ 可愛い子なんだ ろうな、とか思ってた
五月の連休。
私はいつもの神社に向かってた。

……といっても。

夏生は今年、剣舞を舞わない。

だっていま、人力車で白無垢の私の隣に、紋付き袴で座ってるから。

今日は。

——私たちの結婚式だ。


「ゆずちゃん」

「はい」

夏生の手に、私の手を載せる。

着いた先では近藤家のみんなと香織ちゃん、それに大先生たち。
それから夏生のお父さんもわざわざ、美耶子さんとお子さんたち連れて駆けつ
けてくれた。

再婚を決めて、式は挙げないつもりだったんだど、みんなに大反対された。
最初も二度目も挙げないなんて、夕葵ちゃんがかわいそ過ぎるでしょ、って何
故か夏生が責められた。

そうはいっても、夏生の方はお付き合いで招待する人がいるからいいけど、私
は近藤家のみんなと香織ちゃんくらいしかいない。
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