眼鏡とハンバーグと指環と制服と
……うん。
私は今日から、夏生と新しい人生を歩んでいくんだ。


夏生に腕を取られて会場に入ると、みんなに盛大に拍手してくれた。

その中には吉永先生の姿も見えた。

懇親会を兼ねて、だから高砂席って奴はない。
立食パーティ形式。

ケーキ入刀になって運ばれてきたのは、アルバイト先のどんぐりのケーキ。

……最近私は、アルバイトを始めた。
しかもケーキ屋さんだ。

ショートケーキもチョコケーキもダメな私が?って思われそうだけど。
何故かあれから、私の心にかかってたロックが外れてきたみたいで、少しずつ
だけどいろいろ思い出してきてる。

……といっても、小さい頃のことだから、そうそう全部思い出せるものでもな
いけど。

そのおかげか、ショートケーキ恐怖症も少しずつ克服中。

もともと甘いものは大好きだし、夏生と相談して来春から製菓専門学校に通い
たいと思ってる。


披露宴の最中、夏生は意外と気軽にお父さんと話してた。
初めて会う、妹と弟の相手もちゃんとしてる。
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