眼鏡とハンバーグと指環と制服と
桜花ちゃんは十歳、一史くんは八歳なんだそうだ。
私も「お姉ちゃん!」って抱きつかれて、小さな弟妹ができたのが嬉しかっ
た。


「つ、疲れた……」

披露宴が終わって家に帰ってきて。
ふたりで倒れ込むようにソファーに座って、しかも同時にため息ついて、おか
しくて笑い転げた。

「なんかもう、されるがままに右から左に流されていって、忙しかったね」

「でも、楽しかったー。
みんなに感謝しないとだね」

「そうだねー」

並んで座ってる、私の髪を夏生が撫でる。
こうしてるのが、一番落ち着いてリラックスできるんだって。

「あ、桜花ちゃんと一史くん、可愛かったー。
今日、うちに泊まればよかったのに」

「新婚家庭にお邪魔できるかっ、ってお父さん、いってたよ」

「えー」

……お父さんたちは今日、近くのホテルに泊まって、明日お墓参りをして帰る
そうだ。
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