眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……うん。
ごめんなさい」

……ダメだ。
なつにぃ、いつになく真剣だ。
そんなに心配させたんだ。

「それに、そんなに僕のこと、信用できなかった?」

「ううん。
でも、……不安、だった」

「ゆずちゃん……」

そっと、なつにぃに抱きしめられた。
抱きしめられると、涙が零れた。

「だって、なつにぃ、少しでも他の人に取られるの、嫌なんだもん……」

私が泣いてるあいだ、なつにぃはずっと、背中をとんとんしてくれた。
なんかそれで、凄く落ち着けた。

「まああれだ、夕葵はそんだけ夏のことが好き、ってことだから。
だから今回のことは、大目に見てやれ。
俺たちも少し、調子に乗り過ぎた。
悪かった」

「そうだよ、兄さん。
俺が止めるの聞かずに調子に乗るから。
ほんとごめんね、夏さん。
兄さんにはきつーくいっておくから」
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