眼鏡とハンバーグと指環と制服と
文化祭についてのアンケートだって。

ちなみに、わざわざ私を呼んだのではなく、日直だからです。

教室に戻ってプリント配って。
席に着くとため息が漏れる。

「どうした、夕葵?」

「え?……ううん。
なんでもない」

心配そうな亜紀ちゃん。
でも、ちゃんと話せない自分に、また心の中でため息。

……ほんとに夫婦だから。

学校で冗談でも、あんなふうに呼ばれると困る、とかいえない。


あの件の弊害は、他にもある。

どこから漏れたのか、勇にぃたちがお見合い会場に乗り込んだ件がバレてて、
「月原先生は彼女を妊娠させた上に、捨てた人でなし」
という、尾ひれがついた噂がまことしやかに囁かれ、女子の間では人気ががた
落ちだった。

一応そっちは、
「本当は彼氏に捨てられた女友達を励ましてて、なのにその兄たちが捨てた彼
氏と誤解しただけ」
というふうに否定しといたので、落ち着いてはきてるけど。
< 84 / 613 >

この作品をシェア

pagetop