眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「夕葵のことが心配で、気が気じゃなかったんじゃないのー?」

「そうかなー?
しばらくごはん、どうしようとか考えてたのかもよ?」

「なにそれ!?」

「ありえるな」

大爆笑のふたりと一緒に笑いながら。
心の中では盛大にまた、ため息をついていた。

学校帰り。

久しぶりにスーパーに寄った。

おばあちゃんが死んでから、弁護士さんが尋ねてくるまでずっと、ほとんど誰
とも会わないで閉じこもってた。

なつにぃはそんな私の世話を、それこそ付きっきりでしてくれた。

自分だって仕事が忙しいはずなのに、毎日私にごはんを食べさせてくれて。
なかなか寝付けない私が眠るまで傍にいてくれた。

いつもはのほほんとしてるなつにぃだけど。
こんなときは頼りになること、実は知ってる。

なつにぃは嫌いじゃない。
むしろ、……好き、だ。

けど。
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