御曹司と偽装結婚はじめます!
「お腹、空いてる?」


なにをあげたらいいんだろう。
猫を飼った経験のない私には、さっぱりわからない。
牛乳?

しばらく猫と会話していると、香川さんが戻ってきた。


「あの、この子なにか食べさせた方がいいですよね。牛乳かなにかありませんか?」


図々しいとは思ったけれど、香川さんに頼るしかない。


「牛乳はダメだ。おそらく消化できなくて下痢をする。近くにペットショップがあるから聞いて買ってくるよ」

「あっ、それなら私が……」

「それで行くつもり?」


私が立ち上がると、香川さんは私の姿を見て「フッ」と鼻で笑う。


「あっ、いえ……。すみません、お願いします……」


彼の大きすぎるジャージでは、とても外を歩けない。


「その前に、ほら」


香川さんはキッチンに行って、ミネラルウォーターを私に取ってきてくれた。


「猫も大事だけど、雨宮さんも水分を取っておいたほうがいい。まぁ、人間なら診られるけど」
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