agaIN

偶然…にしても違和感を感じる。だけど、まさか必然なわけもない。心が酷くもやもやした。
「…ちょっと?どうしたの、呆けちゃって」
「あ、ううん…何でもない」
心にざわめきが起きる。"何か"が始まる様な気がした。


その後の授業に集中出来るわけもなく、いつの間にか雲が紅く染まり、放課後になっていた。
窓から見える空は、なんだかいつも以上に紅く光って見える。なんだか気味が悪い。
「気持ち悪い…」

「…ここに居たんですか」
透明な声が発音良くそう言った。
「誰っ!?」
ガタン、と席から立つ。私は、その声を知っていたから。
「千河く、ん…」
「やっと、見つけた」
驚く私の耳に、間違いなくそう聞こえた後、瞬時に腕が掴まれていた。振りほどけない。
「何すっ…!」
「何って…迎えに参ったんです!」

『迎えに参りました』
頭で夢の中の"あの声"がリピートされる。

私の感じていた心のもやもやが、確実なものとなり…やがて。
「や、嫌…私を何処に連れて行くの…?」
「連れて行くんじゃない…帰るんです、貴方が存在すべき場所へ」
…意味がわからない。
「だから何処によ!」
がむしゃらに叫んでいないと、言葉が奪われそうで怖かった。
「貴方の…エデンの国へ」

震えが止まらなかった。

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