白と黒〜2つのリストバンド〜
入ったことへの嬉しさで涙がこみ上げてきた。


「いったろ」


「!」


後ろから空の声が聞こえた。


「大丈夫だって」


空は笑いながら歩いてきた。私も空に駆け寄った。


「お疲れ様」


「おう」


「あと…ありがと」


「おう!」


「あ、あと!」


私は右手につけていた空のリストバンドを空に差し出した。


「これもありがとう」


すると空はリストバンドを受け取らず、私の頭を小突いた。


「???」


私は頭に手を当てながら空を見た。


「バカ、お守りって言ったろ。」


「…………?」


「お前の試合まだ終わってねーだろ」


「………」


「それに俺だってまだ試合あるし。返さねーからな」


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