白と黒〜2つのリストバンド〜
4
「わっ」


私は急に肩を叩かれて驚いた。


「………………何」


警戒心MAXで振り返るとそこには男子生徒がいた。


「君迷子?」


「………」


「無理もないよ、ここ広いから。」


確かに数年前に建て替えられたとはいえ無駄に広い。


「別に…違うもん」


私は男子生徒に背を向けた。


「俺、案内するよ?」


「大丈夫」


「じゃあ体育館どっち?」


「…」


この人も迷子?


「あっち」


私は分かれ道の左を指さした。


「ざんねんあっち」


男子は私が指さしたのとは反対の方を指さした。


「…………………」


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