白と黒〜2つのリストバンド〜
「おぉー…ここが栞奈の部屋…綺麗だね。ご両親は?」


「…私一人暮らしだから」


「そっか!ケーキ買ってきたんだ!食べよ!」


「ありがと?」


突然美久に頭がついていかないながらも、私はお皿を取りに行った。


お皿をテーブルに置くと、美久はケーキを2つ取り出した。


一つはチーズケーキ、一つはショートケーキだった。


「栞奈はショートケーキだよね?」


「え?」


「あれ、嫌いだったっけ?」


「ううん、むしろ…」


ケーキの中では一番好き、でもどうして…


「ケーキの中だと一番好きなんでしょ?」


「どうして知ってるの?」


「前言ってたよ?」


確かに私は前話したけど…


「覚えてたんだ…」


「何言ってんの当たり前でしょ」


「…」


私は素直に嬉しいと思った。


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