白と黒〜2つのリストバンド〜
歩いていると美久が小さな声で私に話しかけた。


「ん?」


「…楽しかった?」


美久は不安そうな顔をして私に聞いた。


「…どうしてそんなこと聞くの?」


「なんだか私だけがすごく楽しかった気がして…
もしかして迷惑だった?」


「…」


そんなこと思っていたんだ。


「…やっぱり私めい─」


「楽しかったよ」


美久の声を遮って言った私を美久は驚いた顔をして見た。


「たしかに急に来たのも部屋漁ってたのも驚いたけど迷惑だなんて思わなかったし。それに嬉しかったし。」


「嬉しかった?」


「私誰かとこんなふうに遊んだことなかったから」


「…」


「だから楽しかったし、嬉しかった。」


「ホント!?」


「うん」


私の答えに美久は花が咲いたように笑った。


「ありがとね、美久」


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