白と黒〜2つのリストバンド〜
「………」


後ろを振り返ると立ち尽くす男子の姿があった。


そんな男子の前に私は立った。


「どうする?」


「…」


「もう一回?」


「…………あぁ…」


けれど二回目も


ダンッ!シュッ


三回目も


トンッーシュッ


五回目も


シュッ





シュッ

シュッ

シュッ

シュッ

シュッ

シュッ──────




男子が私に勝つことはなかった。そして、男子は疲れ果てて体育館の真ん中に仰向けで倒れ込んだ。


私もその横に倒れ込む。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…
お前…なにもんだよ……………」


そう言って男子はメガネを外した。


< 6 / 52 >

この作品をシェア

pagetop