プロポーズ(第2話)
アメデオ・モディリアーニは19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、主にパリで活動した画家だ。
今でこそ彼はエコル・ド・パリ(パリ派)の画家のひとりとして評価されているが、生前はまったく売れない画家だった。
彼は失意のうちに三十五歳という若さで病死してしまうのだ。
あたしはつい涼一のことを考えてしまう。
涼一と同棲して三年になる。
彼はあまり売れていないイラストレーターだ。いくつかのペンネームを使い分けている。
ライトノベルのイラストを描いたり、エッチな小説のイラストを描いたりする。
エッチな漫画も描く。
エッチなゲームの中の小さな仕事も引き受けるし、地元のミニコミ誌のイラストも手掛けている。
そうしてなんとか食べていく程度のお金は稼いでいる。
飛行機で言えば、低空を上昇もせず下降もせずに飛びつづけている、といった感じだろうか。
自由業の世界では、それでもすごいことなのかもしれないけれど……。