プロポーズ(第2話)
きっとジャンヌはモディリアーニにこうおねだりしたのだろう。
――ねえ、モディ、絵の中だけでもいいから、あたしに指輪をはめさせてね。
モディリアーニは苦笑しながら承諾したことだろう。
あたしはどうだろうか、と思う。
もし涼一があたしのポートレイトを描いてくれると言ったら、同じおねだりをするだろうか。
――ねえ、絵の中だけでもいいから。
と。
「麻衣」
そのとき涼一があたしに耳打ちした。「絵のほうを向いていてくれる?」