しんちゃんとみぃ
「そうなんでしょ」
みぃの声がいつもと違う。
「どっからそんな話が出てくんだよ」
怒ったように言うと
みぃは涙を流しながら急に起き上がり
近くの机からハサミを乱暴に取って
俺に向けた。
「おぃ……」
みぃ
どうしたんだよ。
「しんちゃんが大好きだった。ずっとあこがれてた。サッカーする姿が好きだった」
みぃの顔が鬼気迫る。
「智ちゃんなんかに渡さない。私のしんちゃんなんだから」
大きく叫び
みぃは裸のまま
俺に鋭いハサミを光らせ腕を振り上げ
そのまま俺の腹に突き刺した。
「しんちゃん」
自分の行動にみぃが一番驚き
みぃは慌ててハサミを抜いて机の上に放り投げ
ぬいぐるみにぶつかり
白いアルパカに赤いシミがつく。
あれってゲーセンでプレゼントした
俺からの
初めてのプレゼント。
大切にしてくれていたんだ。
ごめん。全部俺が悪い。
もっとみぃを大切にすればよかった。