しんちゃんとみぃ

「そうなんでしょ」

みぃの声がいつもと違う。

「どっからそんな話が出てくんだよ」

怒ったように言うと
みぃは涙を流しながら急に起き上がり
近くの机からハサミを乱暴に取って
俺に向けた。

「おぃ……」

みぃ
どうしたんだよ。

「しんちゃんが大好きだった。ずっとあこがれてた。サッカーする姿が好きだった」

みぃの顔が鬼気迫る。

「智ちゃんなんかに渡さない。私のしんちゃんなんだから」

大きく叫び
みぃは裸のまま
俺に鋭いハサミを光らせ腕を振り上げ
そのまま俺の腹に突き刺した。

「しんちゃん」
自分の行動にみぃが一番驚き
みぃは慌ててハサミを抜いて机の上に放り投げ
ぬいぐるみにぶつかり
白いアルパカに赤いシミがつく。

あれってゲーセンでプレゼントした

俺からの
初めてのプレゼント。

大切にしてくれていたんだ。

ごめん。全部俺が悪い。
もっとみぃを大切にすればよかった。

< 17 / 22 >

この作品をシェア

pagetop