しんちゃんとみぃ
「みぃ」
友人の智ちゃんに呼ばれ
目を覚ましたように振り返る。
「何?」
「ぼーっとしてる」
「お弁当の後は、胃が満足してぼーっとなるの」
「うそだぁ。目線はしんちゃんだったよ」
ニタニタ笑顔の悪友は、もう全てお見通し。
「……ちがうよ」
嘘ってなぜか声が小さくなっちゃう。
そう
私はしんちゃんを観察してた。
お弁当を食べて
お昼寝しているしんちゃんを見てた。
両腕を枕にして
顔をこちらに向け
机に突っ伏してる姿はあまりにも無防備であり
とっても可愛いくて
ずーっと見てても飽きない。
「しんちゃん。いまフリーだよ」
智ちゃんの声が魔法の呪文のよう
「知ってるよ」
バスケ部の一年生と先月別れている。
「みぃ頑張ってみたら」
友人に言われると
急に現実を帯びてきて
なんだかお腹が痛くなる。