しんちゃんとみぃ
「え?いや……そーゆーのじゃなくて」
ドキドキする。
ドキドキして言葉にならない。
「みぃだって園部君と別れてもう半年じゃん。そろそろ新しい彼氏がいてもいいでしょう」
「彼氏って、しんちゃんはただの同じクラスで……」
「今はね」
そう言って
智ちゃんはズルい目をして私の消しゴムを机から奪って、しんちゃん目がけて放り投げた。
「ヒット!」
「痛っ!」
智ちゃんの声としんちゃんの声が見事に重なる。
私はふたりを交互に見ていたら
智ちゃんはにっこり笑って
しんちゃんに向って私を指差す。
「ちっ……ちがう」
真っ赤になって否定しようとするのだけど、しんちゃんは寝ぼけまなこで自分の頭をさすり
私に向って「みぃ!」って鋭い声を出し、消しゴムをまた私に投げる。
消しゴムは綺麗に虹のような形を描き、見事に私の目の前に落ちてきた。
「今度邪魔したら怒るぞ」
口調は怒ってるけど
目は笑ってる。
優しい目で笑ってくれた。
私だけに笑ってくれた。
しんちゃん
私は
しんちゃんが好きです。