暁天の星


「龍平、あの子名前なんてーの!?」



教室の後ろでトランプをしてたはずの男が、食い気味に聞いてくるから面食らった。


確か、大野って名前。



自分でも友達作るの早いと思う。



「何急に。」

「おい言えよ〜。あんな子いるなんて知らなかった。」

「アタシも友達になりた〜い!」

「お前黙ってろ。龍平、紹介して。」



右からも左からも声が被さってうるせえ。




「龍平〜。」



ちょうどよく集団で戻ってきたクラスメートが、2人の声をかき消す。



授業の合間の休み時間にサッカーしてきたらしい。




「おい知ってた?龍平の幼なじみ。」

「誰それ?」

「さっき一瞬来たんだよ。モロタイプ。」




大野が余計なことを吹き込んだおかげで質問攻めに合いそうだったけど、次の時間の教師が入ってくる。



席つけ〜なんてお決まりの言葉で固まってた俺たちは散らばった。



別に里香のことを聞かれるのが嫌なわけじゃない。



俺たちの関係がバレなきゃいいだけで。




ただ里香に彼氏ができたらそんなことも言ってられねえけど。



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