暁天の星
「そうだね。」
「え?」
思っていた以上にさらっと答えたアキラに、今度は僕が固まった。
「みんなワケありだよ。かく言う私も。」
「…そうなの?」
「うん。私、血縁者いないし。」
"血縁者"という言葉がやけに重く感じる。
「あれだよ、天涯孤独ってやつ?四字熟語って格好いいよね〜。」
アキラはそう言って笑った。
嘘偽りのない笑顔だったのに、僕はそれにハッとした。
手に汗が滲んで、ズボンの膝辺りをギュッと握る。
やけに自分の瞬きがゆっくりと感じた。
「…親戚の人たちも…?」
「いないいない。まあ、それでも生きなきゃいけないからね。どんな手使ってでも、生き延びてやろうって思ったよ。」
自分の境遇を最悪だとか、文句も言わないアキラに、僕はなんて言えばいいのかわからなかった。
ねえ、晃。
キミの瞳の奥に隠された全てを、僕はまだ何も知らないけど。
僕を助けてくれたキミに、何か返せるかな。